2019年女子ゴルフ界に彗星のごとく現れた「スマイルシンデレラ」こと渋野日向子。
岡山県岡山市出身で8歳からゴルフを始めてから「岡山県ジュニア」の大会で3年連続優勝。ゴルフの強豪、岡山県作陽高校に進学し「中国女子アマ」で優勝、「全国高等学校選手権」では団体優勝の立役者になった。
2018年に2回目のプロテストに合格を果たしてから1年で「ワールドレディスサロンパスカップ」で国内メジャーのタイトルを獲得。その勝利で賞金ランキングが跳ね上がったことで、イギリスの「AIG全英女子オープン」に参戦。なんと日本人はあの樋口久子以来42年ぶりの海外メジャーを獲得。国内ツアーでも4勝をあげた。
トレードマークの「笑顔」の裏にどんな強さが隠されているのか、スイングやセッティングから見える彼女の真実を徹底的に掘り下げて行きたい。
飛距離と曲がらないドライバーの秘密
渋野日向子のドライバーは飛んで曲がらないのは有名だ。全英女子オープンの短いPar4を覚えている人も多いのではないだろうか?グリーンエッジまで250Yであるが、グリーン周辺にはクリークがあり、さらに周辺にはペナルティゾーンが待ち構えている。誰もがレイアップを選択していたが、彼女は果敢にドライバーを振り抜いた。その弾道は高く、真っ直ぐグリーンを捉えなんとワンオン。イーグルパットこそ外したがそのホールをバーディとした。この正確無比なドライバーショットにどうやって磨きをかけたのか?渋野日向子を指導する青木翔コーチはこう語る。
青木翔コーチ「これまで渋野選手は腕の通り道を作ろうとインパクトにむけて無意識に体伸び上がるように打っていて、ボールを芯で捉えていなかった。そこで頭を抑えて腰回りでスイングさせるように指導しました。」
この練習を取り入れたことで渋野はチーピンのミスがなくなりドローボールの理想的な弾道へと変化したという。ダウンスイングで重心を低くキープできることでボールに伝わるパワーもロスなくできるという。
ハンドダウンスイングの真実
よく渋野のスイング動画をみると極端なハンドダウンの構えをしているという意見が聞かれる。渋野曰く「全く意識しておらず、ただ楽に構えているだけ」と言っているが果たしてそれがスイングに影響を与えているのだろうか?青木コーチによると「渋野選手は手足が長いためにハンドダウンに見えているだけ。大切なのは重心を低くするなので全く問題はない」ということだ。スイング前に正しい形を意識せずにゆったりよ自分のスイングをすれば、どんなフォームでもいいという教えを忠実に守っている。渋野はスタンスに入ってから頭で考えてスイングをすることを嫌い、とにかく早いプレーなのも特徴的だ。
青木コーチが語る渋野のドライバーショットの最大の強み
青木コーチが渋野に指導し始めた時はまだアドレスが棒立ちで両腕が引っ張ったような形であった。そのためダウンスイングでクラブの通り道がなくフォローに掛けて窮屈であり、安定性がなかったという。
青木コーチ「重心を低く、ヒップターン先行でスイングすることで腕の通りをよくした」
先ほどの頭を抑えた練習に加えて、ダウンスイング時に右足かかとが浮かないように我慢し大きな円軌道のスイングをすることで綺麗なフィニッシュを手に入れた。恵まれた体格もあり飛距離と正確性がどんどんと上がって行ったという。
曲がらないのはドライバーの性能ではなく、手の動き
渋野選手が使っているPING社製のG410は「曲がらないドライバー」として世間を賑わせているが、彼女の正確なショットは道具の特性に加え、もちろん技術の面も大きい。
青木翔コーチ「アドレスした時の腕の形をキープしたら、ダウンスイングで自然とお腹が回る。さらにフォローで手首をキープしてあげればさらに体が回る。この形ができていれば飛んで曲がらないスイングができます」
綺麗なフィニッシュが取れていればロスなく体全体でスイングできている証拠であり「絶対に曲がることはない」という。
・ダウンスイングでは腕の形をキープし、右足かかとをあげないように粘る
・インパクトからフォローに掛けて手首を固定する
コメント