ドイツの高級時計『A.LANGE & SOHNE』は比類なき黄金比を持つ至高の時計だ。
オフセンター配置の文字盤には、徹底して美しさの追求を行っている。
『アウトサイドデイト』と呼ばれる、大窓のカレンダーの縦横比と、時間と分のダイヤルの直径、そして右のスペースは1:1618という人間が最も美しいと感じる「黄金比」が用いられている。
さらなる美しさの追求は終わらない。
「アウトサイズデイト(カレンダー)」の中心からパワーリザーブ針(右端の針の中心)と秒針の軸を一直線に結ぶ。
その直線と時分軸とアウトサイドデイトの中心は、なんと精密な正三角形になっている。
ドイツ最高級の逸品
世界5大腕時計の一つに数えられる「A.ランゲ&ゾーネ」
時計の専門店の店員はROLEXやPATEK PHILIPPE(パテックフィリップ)などの超人気時計を差し置いて「一番欲しい」といわしめるこの時計。
やはり38.5mmという小さなケースの中にこれでもかと散りばめられた黄金比が不思議と人々の心を魅了するからであろう。
ドイツの時計技師であったアドルフ・ランゲによって1845年に創業。
ドイツといえば、日本と同じように自動車や精密機器産業など世界的な工業先進国だ。隣接するスイスの技術はドイツ由来と言っても過言ではない。
そのドイツの元祖とも言えるこの時計ブランドは、1920年代まで繁栄を極めた。
しかし、第二次世界大戦でドイツは戦争の傘下(というより中心)に巻き込まれなんと40年間も会社が休業するという事態になってしまう。
その後、第二次世界大戦が集結ドイツでの民主化運動を経てベルリンの壁が崩壊した1994年から奇しくも復活を遂げる。
その復活を遂げるきっかけとなったのがこの『ランゲ1』というモデルだ。
その人気が世界的な評価を得たのは、先ほどから何度も記述しているが、この洗練されたドイツ由来のデザインだ。
黄金比もさることながら、休業していたとは思えないほど洗練された「鎖引き」とよばれる高度な技術を用いたトゥールビジョンであり、その調整装置を支える穴石にルビーではなく、昔ながらの製法で持ちられた「ダイヤモンド・エンドストーン」を用いるなど細部まで神が宿っているのだ。
休業の間も技術者たちは腕をサビらせることなく脈々と技術を伝承していったことがうかがえるのだ。
ランゲ1の魅力を掘り下げる
ROLEXのようなシンメトリーのデザインが多い高級時計の中で、一際目立つアシンメトリーの文字盤が最初は違和感を覚える人がいるのではないか?
しかし、実物を見ればその魅力に取り憑かれることは間違いない。
大きな日付窓
他の高級ブランドに比べて、突出しているのがこの大きな「日付窓」だ。
これはランゲ時計発祥の地、ザクセン公国の都、ドレスデンにあるゼンパー歌劇場というオペラ座の時計からヒントを得ている。
ドレスデンといえば、ドイツの中でも美術の個展、音楽祭などが頻繁に行われている芸術の街。洗練されたデザインはここから産まれたのだ。
完璧な時計を追求し日々進化を求める
大きな日付窓やアシンメトリーのデザインは創業者のアドルフ・ランゲの理念である「完璧な時計」に基づくものである。
視認性、品質、機能性を全て比類なきまでに追求した時計全体のデザインとして息づいているのだ。
ブランド復興と共に発売されているモデルにも見た目では大きな変化がないと思われているが、実は大幅な改良がなされているのだ。
具体的な説明は避けるが、機能美や正確性を追求するため技術者たちは内部の機巧を日々更新しているのだ。
まとめ
いかがだったであろうか。
戦争の代償を得たドイツが東西に長らく分断。その間脈々と技術を伝承し続けたランゲゾーネ。
その崇高な経営理念と確かな技術力、そして独創的なデザイン。
一生に一度は手にしたい至高の逸品であることは間違いない。
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