世界でおよそ4000万人がプレイしていると言われている大人気トレーディングカードゲーム「マジックザギャザリング(MTG)」
この禁止改定がもたらす未来について先日コラムで書かせてもらっているが、
【MTG】史上最速の禁止からウィザーズ社の真意が明らかに!紙廃止からアリーナへ移行をもくろむ
思いの他、賛否両論の意見が多かったので、再度違った観点から記事にしたいと思う。
MTGを運営するウィザーズ社の今後取る戦略として挙げられるのは
- コレクター向け → プレミア感のある商品を出して客単価をあげる(コレクターブースターセットブースター 、ダブルマスターズ 、シークレットレイヤーなど)
- プレイヤー向け → MTGアリーナへ完全移行(紙ではありえない速さの禁止)
これは、明確でMTGのブランドを落とさずにうまくネットへのシフトするという狙いが完全に透けて見える。
しかし、この戦略が必ずしもいいとは限らない。なぜなら、紙媒体を専門とするショップに多大なる影響を与えるからだ。
新型コロナと禁止改定のダブルパンチ
実際に新型コロナウィルスの感染拡大で2020年3月に出された緊急事態宣言移行、街中から人が消え外出自粛により、多くの店舗がなんと売り上げ80%減という壊滅的な状況に追い込まれた。
直近では感染対策が浸透し、今では売り上げが回復しているものの3〜6月の数字は軒並み赤字の為、今期の黒字の店舗はほぼないと見られている。
多くの中小店舗が休業閉店を余儀なくされている中での相次ぐ禁止改定がカードショップにとってまさに泣きっ面に蜂と言わんばかりの影響を与えているという。
禁止改定って売り上げに影響あるん?
厳密にいうと、シングルカードは禁止対象カードが値下がりする一方、それによって使われなくなったカードが逆に値上がったりする為、相対的な影響はほぼない。
しかし、「創造の座、オムナス」のような発売からわずか17日で魅力あるパワーカードが禁止されてしまうと、かき入れどきの新弾セットの売り上げに大きく影響を与える。
通常、セットボックスやコレクターブースターは早々に売り切れて在庫がない状態が続くはずであるが、発売後1ヶ月も経たないうちにセールが始まっている。
さらに今後、「新弾が出るごとに禁止改定が行われるのでは?」というユーザー心理への悪影響も与える為に買い控えがおきることが懸念されているのである。
実際に禁止改定が出た直後にTwitter上ではセットの購入を控えた人が続出していた
環境落ち着いたらゼンディカーの夜明けのボックス買おうと思ったがやめたわw
こんなに禁止出ながらボックス買うってどんだけセレブなん?
もうスタン卒業するわ Twitterより
せっかくの新弾が出ているにも関わらず、水を刺すような行為をする運営に対して批判をするコメントが多くなかった。
このように新型コロナ感染拡大と禁止改定は紙媒体を扱うカードショップへの影響ははかりしれないのである。
マジック専門店の倒産はあり得るのか?
全国で中小含めて多数あるカードショップのうちに業界No.1として名高い、「晴れる屋」の社長で元元プロの齋藤友晴氏が自身のYouTubeで赤裸々に語っている。
- コロナ前の売り上げが年商33億円。ざっくりとした粗利が10億円で純利益が1億円
- コロナ禍で一番ひどい時で5割減、3ヶ月以降復調傾向
一番の老舗でもこれだけのダメージを受けており、次の休業要請では持ち堪えられるか不安という状況だ。実際に3月の緊急事態宣言後、秋葉原などの客足が一気に落ち込み小型カードショプ店が相次いで閉店を余儀なくされたという。
晴れる屋については現在は、新弾の発売が相次いでいる為に売り上げが順調に行っているというが、この禁止改定が売り上げに与える影響については言及していないものの、プレイヤーとしてまた経営の立場からしてあまりいいイメージを持っていないのではないか。
これからカードショップが倒産するか否かは、紙媒体のプレイ人口がどう変化するかということに限られている。
もし、また感染が拡大するようであればさらにネット対戦への流入は免れず紙媒体での大会は消滅するか今後縮小していくだろう。また、運営のウィザーズ社が禁止改定などによる経営への水差しがあると倒産へ近づいてしまうかもしれない。
こんな時代だからこそ、対面で味わい深い対戦ができる喜びを感じて欲しいし、(個人的には)MTGアリーナのシステムに対する不信感があるので、紙媒体を全力で応援していきたい。
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