最近のニュースで外国メディアから日本のPCR検査数が少ないことで正しい状況が把握できていないのではないかという疑念が挙げられたという。
その前にも感染拡大が始まり始めた頃アメリカ大使館が、「検査数が少なく、実態がわからない」として在日米国人に帰国を勧めるなど物議を醸していた。
いまだにPCR検査の数が「世界に比べて少なすぎる」や、「本当はもっと感染している」など政府を批判している人がネット界隈を中心に根強い。果たして本当にPCR検査は必要なのだろうか。
私は今の日本の医療体制ではPCR検査は不必要だと思っていた。韓国のようにドライブスルー型の体制ができない限りは必ず「医療機関」での受診が必要になる。ただでさえ病院の外来は手一杯の中カジュアル感覚で訪れる人がいれば間違いなく医療崩壊が進むし、感染していない人が病院で感染してしまうような本末転倒な状況を招きかねないと思っていたからだ。
私が正しいかどうかは別として栄養学を専門とし新型コロナウイルスについて最新論文を公開している「栄養チャンネルNobunaga」が興味深い内容をあげていたので紹介したい。
新型コロナウイルスの検査を増やす必要がない理由
Nobunaga氏は検査を増やす必要はないと断言している。その理由として
- 検査キットの精度の問題
- 抗体と免疫の誤解
などがあり、検査数を増やすとかえって感染爆発を招く恐れがあるとしている。
まずはPCR検査とは日本で新型コロナウイルスに感染しているかどうかを鼻から綿棒を入れて、検体を採取し、ウイルスの遺伝情報を調べて「ウイルスそのものを検出する方法」であるという。
まず、PCR検査の大前提として検査する人が下手だとウイルスが検出されない。
この検査自体始まってまだ数ヶ月であり技術的な修練を重ねている訳ではないため実際に多くの国で実際は陽性であった人が陰性と診断されているケースが確認されているという。
そして次にPCR検査の感度はなんと6から7割程度しかないという。つまり本当の感染者が100人いたらそのうち検査をして「陽性」となる人が60から70人しかいないということになる。残された40人は「陰性」と判断されて世の中に放り出されてしまうという。
確かに明らかに新型コロナの症状がでているにもかかわらず「陰性」とされている有名人も多くいるためそもそも検査自体が正確でないことは理解できるところだ。
また、インフルエンザウイルスに比べてコロナウイルスはウイルスの量そのものが少ないために感染初期や感染後期では判断が難しいと言ったデメリットもある。
感度が低い上に感染初期後期で判断が難しいために結果として大量の「偽陰性」が排出されてしまうのだ。
そしてもう一つの検査として「抗体検査」というものがある。最近、神戸市が独自調査で抗体反応が3%あったというニュースがあったものだが、簡単にいうと新型コロナウイルスに対抗する「抗体」を獲得しているかどうか調査するものだ。
抗体を持っているということはコロナウイルスに感染しないのか
と思いがちであるが、Nobunaga氏によるとそれは大きな勘違いであるとしている。抗体を持つことは「免疫」を持つこととは違うという。例えばHIVウイルスも「HIV抗体」はあるが、それで感染しない免疫を獲得している訳ではない(感染する)。つまり現段階では抗体の獲得についてが免疫の獲得とつながらない。
新型コロナウイルスの抗体は長時間維持しないし、インフルエンザのように「型」が異なれば新たな抗体を持つ必要がある。新型コロナウイルスはいくつもの株に変異している情報もあるためにAという抗体を持っていてもBという型の抗体を持っていないこともある。
闇雲に検査をして「安心」させることがかえって混乱を招く
臨床現場でも陰性と判断された人でもコロナウイルスの感染症状がでている人は隔離されている例もあり、検査はあくまで目安としている。また、感染していても無症状の人が8割もいるために院内感染や二次感染を防ぐためには「入院が必要な人に限った検査」に留めることが必要だと唱えている。
- 検査を待っている間に健常者へ感染させてしまい、最悪クラスターを引き起こす
- PCRの偽陰性が通常行動をおこし感染を広げる
- 抗体検査は地域特性を示すが個人には向かない
Nobunaga氏は今はとにかく冷静に「Stay Home」を心がけることが必要だとといている。
検査をしないと不安になるのはわかるがPCR検査や抗体検査の弱点を十分に理解して今後から正しい知識で行動するべきである。
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